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2021.07.29
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【スペシャル対談】ストローブランドの経営者に、Z世代のわたしたちができることを聞いてみた。

ソーシャル系マッチングアプリ「Tinder」のメンバーの大半を占める

Z世代とミレニアル世代

それぞれの方法でよりよい社会に向けて活躍している、

この世代のおふたりを招いたスペシャルな対談企画!

今回お話を伺ったのは、環境保護活動へのきっかけとなる

ステンレス製のマイストローを提案するノイハウス萌菜さん(写真左)と、

“サステイナブルな日本”を実現するために、

草ストローのプロジェクトを立ち上げた大久保夏斗さん(写真右)。

そんな共通点を持つおふたりに、それぞれのブランドの成り立ちや環境問題への思いを伺いながら、

誰もが真似できること、学べることは何かを見つめていきます。

話を聞いていく中で、「人との出会いやつながりの大切さ」を改めて感じ取れた本対談……。

環境問題の枠を超えて、今の時代だからこそ必要な価値観についても考えさせられました。

最後まで、ぜひお楽しみください。

“エコなストローを作ることで、プラスチック以外の選択肢を”

ーおふたりはストローのブランド経営という共通点があり、先日もラジオで共演されていましたね。

ノイハウス(敬称略):そうなんです。以前から大久保さんの活動については知っていましたが、お会いできたのは、つい先日のラジオでの共演が初で。

大久保(敬称略):なので、今日が初めましてではないんですが、環境問題に関心を持ったきっかけやブランドを設立した経緯とか、詳しいことはまだじっくりと聞いたことがありませんでしたよね! 今日は、お話しできるのを楽しみにしていました。よろしくお願いします。

ノイハウス:こちらこそ!よろしくお願いします。

ーまずは、おふたりの現在の活動内容や、始めた経緯について伺いたいのですが、ノイハウス  さんが環境について考えるようになったきっかけは何ですか?

ノイハウス:わたしは元々イギリスに住んでいて、5年前日本に来たときに、違和感を抱いたのが最初のきっかけでした。イギリスでは、お店で個包装されていない野菜を選ぶことができたり、マイボトルを持っている人が大半だったりと選択肢があったんです。でも、日本に来てからは、そういった意識せずともできていたことができなくなってしまいました。だからこそ改めて環境問題について考えさせられたんです。

 

ノイハウス萌菜
1992年生まれ。イギリス育ちのドイツ人と日本人のハーフ。プラスチックストローの代替品となるステンレスストローブランド「のーぷら No Plastic Japan」を設立。それ以来、環境保護を自分ごととしてとらえ、それぞれが無理なく日常に取り入れられる環境 保護活動やそれにつながる行動を提案し続けている。一児の母としてのライフスタイルも発信中。Instagram:@mjneuh

 

ノイハウス:わたし個人がお店や企業に「こういう風な取り組み方に変えてみませんか?」 などとメールを書いて送ったとしても、自分ひとりだけの小さな声になってしまうのが    もったいないと思って、そういった思いを載せたInstagramでの発信をスタートしてみました。それに加えて、何か環境について考えるきっかけとなるアイテムも作って発信できれば伝わりやすいなと思ったんです。エコバッグとかマイボトルの案も考えてみましたが、そのあたりはみなさんのご自宅にすでにあるものを使ってもらいたいと思ったので、“マイ〇〇”の中でも、持っている人が少ないストローを作ることにしました。

のーぷらのストロー(提供:ノイハウス萌菜)

大久保:ちなみに、ストローの素材はなぜステンレスを選択されたんですか?

ノイハウス:当時、竹という選択肢もあったのですが、日本だと竹は割り箸のように使い捨ての感覚があるのかなと思ったので、飲食店には向いていないと考えました。なので、丈夫で食洗機にも使えて衛生面でも安心なステンレスにしました。

大久保さんが環境問題に関心を持つきっかけは何だったんですか?

大久保:僕は高校を卒業するまで、ずっと一般的なスタイルで育って、学生時代のほとんどは部活に熱中していたんですよ。だから、環境や社会問題についても何も知りませんでしたし、深く考えたことも、正直あまりなかったんです。でも、あるときにYouTubeで観た「ウミガメの鼻にストローが刺さっている動画」がとても衝撃的で……。それを観てから、水を得た魚のようにどんどん環境問題に興味が湧いていったんです。

「草ストロー」を始めたのは、兄の影響です。僕の兄が外国でバックパッカーをしていた    ときに、飛行機でたまたま隣になったベトナム人のミンと意気投合して、話している中で「環境にやさしいストローがベトナムにあって…」と、教えてもらったそうで。兄が日本に帰国したときに、僕にも草ストローの話を教えてくれたり、ミンのことも紹介してもらったら興味深くて、兄とミンと3人で「HAYAMI」を立ち上げることになりました。

HAYAMIの草ストロー(提供:HAYAMI)

兄が偶然出会ったミンとすぐに打ち解けたのもそうですし、事業を立ち上げるまでのスピードは相当速かったですね。さっき話した通り、僕自身ウミガメの動画を観てから、環境問題について何かできる範囲で行動を起こしたいと思っていたし、草ストローを日本で販売することは現地の雇用につながることにも共感したんです!

 

大久保夏斗
2000年生まれ。合同会社HAYAMI CEO。東京農業大学国際農業開発学科3年生。フィリピンで国際ボランティアのプロジェクトに参加し、18歳のときに、家族(兄)の影響でスペインやメキシコを周るバックパッカー旅を始める。帰国後、 大学の授業参加と両立させながら、草ストロープロジェクトを開始。Instagram:@hayami_grass_straw

左から、大久保さんの兄・迅太さんとベトナム現地の社員・ミンさん(提供:大久保さん)

ノイハウス:そうなんですね、すごい! 飛行機で隣になった人と意気投合して、一緒に事業を始めるなんて、ドラマみたいな話に聞こえます。お兄さんとの信頼関係も、未来や社会に対してもとても前向きで素敵ですね。

あと、お話を聞きながら、環境問題への取り組みを始めたきっかけとして、外国の文化に触れたエピソードが共通していると思いました。外国の文化に触れることで、学べることってたくさんありますよね。

大久保:そうですね。とはいえ、ストローの制作を始めたばかりの頃は、ベトナムの取引先に納期通りに商品を出してもらえなかったり、働く上での衛生面がきちんと整備されていなかったりで。文化の違いに苦労したところもありますが、今はコミュニケーションを重ねて信頼関係が出来てきましたし、しっかりとコミットしてもらえるように契約書を結んだりすることで、だんだんと改善してきました。

自分とは違う文化に触れることで気付くことって、本当にたくさんありますよね。そういった経験を重ねるごとに、自分や周囲の小さな社会だけにとどまらず、いろいろな人の出会いの中で、価値観を広げていくことが大事なんだなと、僕はまだ20歳なんで偉そうなことは言えませんが、これまでの経験を振り返って、そう思うところがあります。

ノイハウス:本当に立派ですよね! そして、わたしも同じことを感じています。仕事や恋愛のパートナーにしても、家族や友人にしても、そういった偶然の出会いにしても、他者との関わり合いの中で、気付かされたことがほとんどです。

ちなみに、先ほど外国の方とのギャップについて話されていたので、パッと思い浮かんだ話をすると。わたしがイギリスから日本へ移り住んできたときに、日本では、イギリスに比べて自分の意見をしっかりと発言して意見交換する風潮が少ないように感じました。せっかく色々なことを感じている人が多いのにもったいないですよね。

外国のようにもっと気軽に議論ができるといいなと思いました。そうすれば自分の小さな意見でさえももっと言いやすくなるし、一人ひとりの選択を尊重することで、選択の幅も広がるはず!

大久保:たしかに、そういう部分はもう少し見習っていきたいなと思います。議論することで関係性が深まったり、距離感も縮まると思うし、やっぱりどんな時代でも、何をするにしても、人とのつながりが大事ですよね。

ノイハウス:まさに。そして、さっきの発言に補足するのですが、今の日本では、そういった今までの「つつましく」みたいな文化から少しずつ発展して、それこそZ世代の人たちには特に、自信を持って自分の意見を主張する人も増えてきた印象があります。

“SNSやマッチングアプリの利用は日常的。

オンラインのつながりも偶然のひとつ”

ー今、おふたりと同じ世代の人たちは、外国の文化や、他の価値観を多様に受け止めて、社会問題にも関心がある人が多いということでしたが、それってインターネットやソーシャルネットワークの機能が関係していると思いますか?

ノイハウス:かなりあると思いますね。わたしは、環境問題に取り組む団体やコミュニティが増えているなとInstagramを見て感じています。特にここ1〜2年ですごく増えていて、大学生や高校生の方も発信されているんですよね。

7月は、使い捨てプラスチックの使用を控えることを目的とする「Plastic Free July」というムーブメントの最中なのですが、そこに対するコンテンツもかなりたくさん投稿されています。3年前はハッシュタグで検索しても、ほとんどなかったのに、ここ最近はとても活発なんです。

大久保:たしかに、以前よりは若者が集まってムーブメントを起こすことが増えてきて、その影響力も社会の中で大きなものになってきたと思います。僕自身も環境問題に取り組み始めてから、他にも同じように活動している若者がこんなにいるんだ、とSNSを見て驚きました。最近はインフルエンサーが活動をSNSにアップすると、それを真似して取り組む若者も多いですよね。

ノイハウス:むしろ今は、オフラインよりもオンラインで情報を得たり、人とつながることが多くなってきたと感じています。

大久保:僕も、直接はまだ会えていませんが、SNSでつながっている人はたくさんいますね。お互いの活動に共感したり、コロナ禍の状況が落ち着いたら、一緒に何かやりたいねと話したりしています。

ノイハウス:私もSNSでつながった人が数多くいます。やっと直接会えた方もいれば、Instagramのライブ配信を一緒に挑戦してみた方もいます。

ーやはり、そういった活用方法があるのですね。ちなみに、オンラインでの出会いといえば、ノイハウスさんは旦那さまと出会ったきっかけがTinderだったそうですね。

ノイハウス:実はそうなんです!でも、婚活にコミットしていて出会ったというより、もっとカジュアルな気持ちでTinderを使い始めました。彼もたまたま以前使っていたiPadにアプリが入っていたのを見つけて再開したばかりだったらしく。お互いに、なんとなくスワイプしただけだったので、オンラインでも偶然の出会いはあるんだなと実感しましたね。

大久保:それが今の旦那さまと伺って、とても感慨深い! 僕の周りでも、SNSやマッチングアプリをきっかけに恋愛に発展している知人が多いですよ。今は、マッチングアプリやSNSで出会って交際することも一般的ですよね。

ーSNSもマッチングアプリも、あくまでも出会いの“入り口”みたいな感じなんですかね。

ノイハウス:そうですね。最近は、ラジオの仕事もいただいてますが、それも今のストローの活動を発信していたことがきっかけでした。恋愛に限らず、人とつながることで本当に様々なことに結びつくし、さらに、そこから一歩踏み込んでチャレンジしてみることで、自分が思ってもみなかったところに行けることもあるんですよね。

大久保:僕の兄が飛行機でミンと隣になって、さらに、そのミンがたまたま日本に留学していたように、偶然に偶然が重なってここまで来られたと思います。そうじゃなければ、今頃、大学で適当に毎日を過ごしていたかもしれないですし。

ーそんなおふたりは人と関わりの中で、特に気をつけていることはありますか?

ノイハウス:うーん、そうですね。いきなり何かを求めたり、何かに期待をしすぎないようにしています。例えば、異業種交流会へ参加した際に、最初から自分のビジネスにつながる出会いだけにターゲットを絞り、会社名を聞いただけで「この人とは、これ以上コミュニケーションを取る必要がないかも」と、交流の幅を狭めてしまう方もいますよね。

私はなるべくそうしないように気を付けています。今は接点がなくても、もしかすると、もっと先の未来でつながれたかもしれない……! と、もったいなさを感じるんです。そういう意味でも、かなり大きな機会損失だなと。人と人との関係性を問わず、誰でもフラットに接することは重要だと思います。

大久保:まさに。どんなことでも興味を持ってみることですよね。一見、草ストローと関係のなさそうな企業の方からメールをいただいても、まずはお話を伺うようにしています。それによって僕の知見も深まるので、自分のためにもなりますし。あとはSNSには本当に様々なパーソナリティの方がいるので、自分と他人を比べすぎないように、僕は心がけています。他人を羨んでも、絶対にいいことがないので。

“まずはやってみたことが、ふたりの共通点”

ーおふたりのように何かをしたいけれど、まだ行動に移せてない方や、今日のお話を通じて何かしたい! と思った方ってきっとたくさんいると思います。そんな方たちに伝えたいことはありますか?

ノイハウス:まずはやってみることが大事だと思います。やってみないと何もわからないし、やってみて違ったらやめればいいので。そのように、考えて悩んでいる時間をアクションに使ったほうが絶対に意義深いですよね。

既に活動している人の話聞いてみるとか、オンラインイベントに参加してみるとかでもいいんです。周りが一緒にやってくれるのを待つのではなく、まずは小さなことからでも動いてみるのがいいんじゃないかな、と自分の実体験を通して思います。

大久保:やらない理由を探すのってすごく簡単なんです。年齢や環境などを気にせず、まずはノイハウスさんも言うように、やってみることがすごく大事だと思います。

ーおふたりのここまでの道のりから、今の考えを伺っている中で、まさに「とにかくまず、やってみること」の大切さを学ばせていただきました! ありがとうございます。最後になりますが、ご自身やブランドのこれからのビジョンについて聞かせてください。

ノイハウス:「のーぷら No Plastic Japan」がブランドとして伝えたいのは、“プラスチックは悪”ということではなく、“使い捨てを考え直そう”ということです。プラスチックに限らず、紙なども含めて資源の使い捨てを当たり前にしないことが大切ですが、それよりも「何が大事なことか」を考え直すことが大事だと思っています。

使い捨てカップを使うか使わないか、ストローはプラスチックかステンレスか。必ずしもこうした方がいいという答えを提供するわけじゃなく、問いを投げかけて個々の答えに導かせるような発信を、これからも続けていきたいと思っています。

大久保:のーぷらでは、ストロー以外の製品を作る予定はあるんですか?

ノイハウス:今のところはありませんね。現在販売しているのは、細めのデザインのものと、タピオカドリンクやスムージーにぴったりな太めのデザインのものの2種類です。他の方とコラボして販売した製品もありますが、基本的には商品がストローだけというのも、ひとつのこだわりで。

のーぷらのストロー(提供:ノイハウス萌菜)

ノイハウス:どれだけサステイナブルだとしても、ものを作る過程で少なからず環境負荷の問題が出てくると思うので、「欲しい!」と思ってくださる人にだけ、辿り着いた人にだけ、使ってほしいと思っています。

全ての人に届けたいというよりは、使いたい人だけに使ってほしいという気持ちがあるので、今は広告も出していません。売ることを目的にしたくないからこそ、私も“のーぷら”を本業にしたくないし、常にプロジェクトという形でやっているんです。

大久保:僕も大学に通いながらですし、兄とミンも他の仕事をしながらなので同じですね。僕たちは今後、使用後の草ストローを動物のエサや堆肥化できるようにして、ゴミを生まない仕組みを作りたいとも思っています。

ー「HAYAMI」のサイトに載っている、ヤギが草ストローを食べている写真も印象的でした!絵力もすごくて、ヤギが草ストローを食べている様子が可愛かったです(笑)!

大久保:ヤギ可愛いですよね。あの写真はヤギを飼われている購入者の方が、わざわざメールで送ってくれたんです。草ストローは無農薬、無添加の完全自然由来の製品になっているので、あのようにヤギが食べることもできるんです。

実際にヤギがHAYAMIの草ストローを食べている様子(提供:HAYAMI)

大久保:あとは、ノイハウスさんも仰っていたように、使いたい人が使ってくれたらいいというのは、僕もすごく共感します。「HAYAMI」では、“毎日ちょこっとエコな選択を”というのを掲げていますが、例えば、プラスチックストローを使っている人がいても、その人が悪いとは限らなくて。

もしかしたら、ストローはプラスチックを使っているかもしれないけれど、レジ袋は絶対に使ってないかもしれないですよね。自分ができることをやればいいので、草ストローを使うことも選択肢のひとつとしてあるだけなんです。その選択肢を提示するために、今後も草ストローを懸命に作り続けたいと思っています。

ノイハウスさんも大久保さんも、全員に「エコなストローを使ってほしい」と唱えるのではなく、あくまでも選択肢のひとつとして提示する、という共通の姿勢を持ちながらも、辿ってきた軌跡もそれぞれ。まずは考えてアクションを起こすこと、それが大事だと仰っていました。そうすることで、新しい人とのつがなりも増え、さらに 新しい世界が広がっていくものだと思います。

そして、SNSやマッチングアプリが普及した現代において、オンラインでのつながりもオフラインと変わらないくらい自然なもの。これからの私たちも、そういった 他者とのつながりを大切にし、「動き出そうかな?」「このトピックに関心があるけれど……」と悩んでいた時間を活用して、たとえ小さくても、ぜひ、自分にできることからアクションを起こしてみましょう!

(企画/Tinder Japan、取材・文/伊藤美咲、編集/ALLY、撮影/山下侑毅)